2008年05月13日

奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科公開セミナー

奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科では、国内外より著名な研究者を招き、一般の方にも公聴していただける「公開セミナー」を随時開催しています。

シロイヌナズナの活性酸素種生成酵素Atrbohの活性化機構


講演者:賀屋 秀隆 助教(東京理科大学 理工学部 応用生物科学)
日時:平成20年5月20日 ( 火 ) 16:00 -
場所:奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 大セミナー室
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内容:スーパーオキシドアニオン,過酸化水素,ヒドロキシラジカルなどの活性酸素種(ROS: Reactive Oxygen Species) は,酸素呼吸をおこなう際,副次的に生成される.ROSは反応性が高く,DNAの酸化を引き起こし,ヒトではガンや老化のおもな要因の一つであると考えられている.そのため,細胞はROSを消去する機構を発達させてきた.その一方で,ROSを積極的に生成する機構も存在する.ヒトの食細胞では微生物などを貪食する際にROSを生成する.植物においても,ストレス応答,病害応答,形態形成においてROSが生成される.ヒトのROS生成酵素であるgp91phox (NOX2: NADPH oxidase2) ホモログとして,植物よりrboh (respiratory burst oxidase homolog) 遺伝子が単離されている.しかし,gp91phoxとは異なり,ほとんどの植物rbohは2つのputative EF-handモチーフを含む長いN末端領域を持つ.シロイヌナズナには10個のAtrboh遺伝子があるが,AtrbohDはストレス応答・病害応答に関与すること,AtrbohC/RHD2は根毛伸長に関与することが遺伝学的解析より示されていた.しかし,これらが酵素本体としてROS生成活性を持つのか,さらにその活性化機構については不明な点が多かった.
これまで植物細胞を用いてAtrboh活性化機構の解析を試みてきたが困難であった.今回,ヒト培養細胞のHEK293Tに異種発現させることで,形質導入したAtrboh由来のROS生成量を高い時間分解能でかつ定量的に測定できる実験系を確立し,AtrbohD, AtrbohC/RHD2の活性化機構の解析をおこなった.
AtrbohDはCa2+イオノフォアであるイオノマイシン添加により活性化され,さらにputative EF-handモチーフにアミノ酸置換変異を導入するとイオノマイシン誘導性の活性が消失することから,AtrbohDはCa2+により活性化されることを示唆した.興味深いことに,このEF-handにCa2+結合能を上昇させる変異を導入したところ,ROS生成活性は逆に低下した.EF-hand領域の構造を調べたところ,Ca2+結合によるα-helixの相対変化量が野生型よりも低下していた.このことは,AtrbohDの活性化にはCa2+結合に伴う立体構造変化が重要であることを示唆している.また,脱リン酸化阻害剤であるcalyculin Aの添加によりAtrbohDのリン酸化程度が上昇し,ROS生成も活性化された.さらに,calyculin Aはイオノマイシンによる活性化を飛躍的に活性化したことから,AtrbohDの活性化においてCa2+結合とリン酸化は相乗的であることが明らかになった.AtrbohC/RHD2もAtrbohDと同様の機構により活性化されていることも明らかにした.

公式サイトhttp://bsw3.naist.jp/seminar/index.html

お問い合わせ先
奈良先端科学技術大学院大学
バイオサイエンス研究科形態統御機構研究グループ 武田 征士

(seijitakeda@bs.naist.jp) @は全角を半角に変換下さい。

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Posted by 株式会社CSセンター at 11:11│Comments(0)TrackBack(0)2008年5月

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